生命言語心理学とは?

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泣き、笑い、ほほえみ、怒り、心は言葉で意味を知る

【生命言語心理学倫理学)の概要】


 はじめに
 ここに提案する「生命言語心理学」は、従来の心理学に比べて、心理に及ぼす言語の役割を大きく捉えています。この心理学の目的または役割は、生命(細胞)が地球上に出現(誕生)した意味と、言語が人間心理に及ぼす影響を、言語を獲得した生命である人間自身の言語によって解明(自己理解)し、自己や社会においてコントロール性を高めようとすることにあります。つまり、言語が心(精神・心理・大脳)に及ぼす働き(機能)を解明し、人間が言語的存在であることを自覚して、自己自身の永続的幸福の構築に役立てようとするものです。以下に、そのための六項目の生命言語心理学の原則をあげておきます。

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生命言語心理学の心のイメージ

 

1)生命の捉え方(生命をどのように意味づけるか?)
a)生命(細胞)は、多様な環境の変化に応じて代謝・適応・生殖をおこない、自律的生化学反応を持続させようとするシステムである。
b)生命は、30数億年前に地球という特殊な環境の中で誕生し、多様な環境に適応し多様な生存形態をとって生活するように進化(多様化・複雑化)してきた。
c)人間は、言語を獲得したことによって、自らを生命として意味づける存在であり、その意味に従って自覚的に生きることを強いられた存在である。  ⇒詳細

 

2)動物の環境適応様式の特徴(神経系の発達)
a)動物としての生命は、従属栄養生物として他の生物を補食して代謝を行い、捕食と安全保持のために環境変化に機敏に対応して活動する。
b)動物においては、生命細胞(生化学反応)の刺激反応性の構造が、様々の知覚と行動(器官)に複雑に分化・統合され。的確な判断をする中枢神経系(脳)を発達させた。    ⇒詳細

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この図に見えない言語を加えれば、人間の心身モデルになります



3)生命活動の動因としての欲求(個体維持と種の存続)
a)欲求は、動物行動の基本的動因であり、個体によって強弱、敏鈍、粘淡など(生得的気質・個性)に違いがある。
b)欲求は、哺乳類では個体と種族の維持に分類され、さらに人間では、意識的な言語的構想力によって人間的欲求としての二次的(もっと)・空想的・観念的・創造的欲求に拡大する。
c)欲求が充足すると快(肯定的)感情、充足しなければ不快(否定的)感情が起こり、次の 快の追求または不快の回避に向かう。   ⇒詳細

 

4)動物行動の判断基準(生得的学習的)としての感情(快・不快)
a)感情は、欲求充足のための無意識的反応であるとともに、行動の肯定的または否定的原動力になる。

b)感情は、肯定的、否定的、意志的感情に分類でき、その反応様式は記憶・学習・蓄積される。肯定・否定の対立的感情は、生存欲求の充足における選択・判断・価値観の基準となる。
c)意志的感情は、欲求や感情についての人間固有の言語的意味づけと関わり、時空の広がり(または希望や究極・永遠)への執着をともなう。  ⇨詳細

 

5)人間における言語の役割
a)言語は、人間に固有の本質であって、情報の相互伝達を的確に行うとともに、人間の外的反応や行動から独立して、内的な情報処理(思考・記憶)が可能な音声信号(刺激)である。
b)人間とチンパンジーとの違いは、人間が言語という二次信号系(パヴロフ)を獲得したことによって、チンパンジーのもつ認識能力の「直示的限界(直示性)」を超えたことによる。
c)言語は感情を刺激・抑制し、欲求を方向づけ、認知や思考の手段となって価値観や人生観・世界観を構成し、心と行動の枠組みをつくる(または、意味づけ、正当化・合理化する)。
d)言語は、他の動物のような無意識的刺激反応性にもとづく単なる音声信号ではなく、主語・述語・目的語等による論理を記号化した音声信号である(文法の成立)。それによって、人類は、情報処理の面で創造的構想力の飛躍的進歩を遂げた。   ⇒詳細

 

6)人間の自己コントロールと社会的行動
a)人間心理(心)における言語の役割は、無意識の基本にある欲求と感情を意識化しコントロールすることにある。言語は、言語で構成する知識と共に、人間存在(欲求・感情・利害等)を表現し意味づけ強化する。
b)社会的活動は、言語的に意味づけられ共有された社会的了解(伝統・教育)と自己理解(学習)とによって成立する。人生観や価値観は、社会的イデオロギーを形成し時代的制約を受けると共に、新しい価値観を創造する。
c)人類が、地球上で平和、共存、共益、幸福な生活を持続するには、自己と相互への言語的な理解(共通認識)とともに互助・知足と慈悲・仁愛の精神が不可欠である。

                                ⇒参照

さらに詳しくは、「心の構造と機能」をご覧下さい。

 

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○「ユネスコ憲章」の冒頭には、「戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。」とあります。人の心は、欲求と感情、そして心の記憶を意味づける言語(観念)で構成されています。心の中の平和のとりでは、言葉で作られます。あなたは心の中にどのような平和の心を持っていますか。心の中に生命や人間の尊厳という観念(言葉)を持っていますか?これからの人間は、心の中に平和と人間の尊厳という言葉を育てて、自分の欲求や感情を制御(manage,control)していく必要があるでしょう。